【おすすめ絵ほん#001】「ともだち くるかな」~こころ"を失いたくなる、そんなつらい経験はありますか?~

『ともだち くるかな』

現在9作目まで発行されている人気シリーズの第2作目。あるきっかけからともだちになったキツネとオオカミ。誕生日にともだちの来訪を楽しみにしていたオオカミですが、キツネは現れなくて・・・。

内田 麟太郎  (著)、降矢 なな (イラスト)

 この本は「ともだちや」シリーズの2作目で、なかよしのオオカミとキツネが助け合い、時にはケンカしつつ友情を育むというもの。9作のシリーズのうち、私は特にオオカミのキャラクターがお気に入りで、彼が主役のこの話が一番好きです。

 一見怖くて意地っ張り、でも実は繊細で傷つきやすくて、自分の誕生日に花びらをちぎりながら、「くる、こない。くる・・・」と、友達のキツネを待つような性格の彼。いじらしいと思いません?

 でもその日、とうとうキツネは訪ねてこなかった。オオカミが、そのさびしさから逃れるため「こころなんか、いらないぞーっ」と大きな声で叫ぶ場面があるのですが、私にはその言葉がとても衝撃的で。さびしさや悲しさを感じるのは"こころ"を持っているからで、それがつらいから捨ててしまおうとする・・・その大胆な発想に驚きました。

 と同時にオオカミのその気持ちは、私を含め誰しも共感できるものだと気づいたんです。子どもも大人も、人間関係は悩みのタネですし、時には絶望することも起こりますから。でも、傷ついた経験があるからこそ、人は「ともだち」の存在を貴重だと思えるはず。

 最後には誕生日の日にちを一日勘違いしていた(!)オオカミの前にキツネがプレゼントを持って登場し、彼は"こころ"を取り戻します。くすっと笑える最後も彼らしく印象的です。

(生協雑誌「クリム」2008年12月