【2016/3/25】「手島圭三郎特別講演会」~しみじみと思うことばかり。言葉の一つ一つに、命の重さと儚さを感じました。

 手島圭三郎さんの絵本原画展は無事に終了。そして講演では、しみじみと思うことばかり。

 2016年1月から3月末まで開催した、絵本作家・手島圭三郎の原画展も無事に終わりました。原画を展示させていただく、アルモニのオープン以来初のチャレンジでもありました。谷山の辺鄙な卸団地の中にある建物の2階に、名実共に偉大な存在であるとはいえ、作家さんの原画を展示して、どれだけの反響があるのかもわかりませんでしたが、当店は「小さな絵本美術館」ですから、今回の企画は私にとって大変名誉なことでもありました。

  手島さんの作品は、どれも北海道の動物を描いたものです。特に『しまふくろうのみずううみ』は、絵本にっぽん賞を受賞した作品でもあります。文字がほとんどありません。木版画で表現された夜の湖の神秘性、フクロウの視線、緊張、湖の波紋、といったものが圧倒的な力で私たちを捉えます。この絵本が出版された当初、「子どもの読む本としては物語性がない」と評した評論も少なからずあったのだそうです。

 しかし、本当にそう言い切れるでしょうか?フクロウのお父さんが子どものために魚を捕まえる、たったそれだけのストーリーだからこそ、小さい子どもたちにも分かるテーマではないかと思います。一瞬の動きを絵に捉える、その連続性こそが文字を追わない物語と言えるのではないでしょうか。わたしたちは、文字がない世界にじっくりと浸ってみるという時間が、現在あまりなくなっているのではないでしょうか。目を閉じて手島さんの描く世界に容易に入って行ける、そして自然のリアルさを想像できる、そんなイマジネーションの持つ大切さを、いくつになっても持ち合わせていたいものです。

 最後に、手島さんが私たちにくださったメッセージをご紹介します。

「人生は素晴らしい。どんな人生であろうと人生は美しい。しかし、美しいと思うには、その人に感性がなければ美しさを見ることが出来ません」。

 3月25日の手島さんの講演会には、夜の開催時間でしたが、遠くは熊本から、鹿児島市外からも聞きにきてくださったお客様も。「二度と無いかもしれない出会い」の連続です。81歳の手島さんの言葉の一つ一つに、「明日のことは誰にもわからない」命の重さと儚さを感じました。だからこそ、「聞いてよかった」と皆さんが感想をおっしゃって帰られたのだと思います。

 版画の一部は、アルモニに展示しております。いつでもご覧いただけます。期間中お越しになれなかった皆様に、ご案内です。